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Animal Welfareで働く人々

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ヨーロッパに初めて行った時(07年2月位だったと思う)、単独でバックパックを抱えて大学卒業前に、就職センチメンタルを味わいに行った時でもある。日本を飛び立ち約2カ月、帰国前の最終経由地に選んだのは憧れの英国だった。音楽や映画の様なアートではなく、僕はイギリスの動物達に強烈に惹かれていた。普通の人にはない発想、イギリスの動物にどうしても逢いたかった。歴史的建造物や博物館をついでにしながら、ハイドパークを始めとした公園をぶらつき、街中で出逢う犬や馬に感動した。どう考えても日本では出逢う事が出来ない光景が忘れられなくて、結局2年後に再びイギリスに戻ることになる。

動物や自然そっちのけで働いてきた日本での2年間、随分疲れていたのか全てが新鮮だった。イギリスに来て約3カ月で英語もそこそこに、とんだ田舎Burfordの”Blue Cross”で面接を受けていた。いわゆる英国の「動物保護団体(Animal Welfare)」は、日本で見た事のあるアレと全然違う。東京ドームが何十個も入る敷地に、はちみつ色のコッツウォルズストーンで作られたなんともかわいい施設。中には最新設備のそろった医療環境、犬だけじゃなくて猫、うさぎなどの小動物、なんとなんと馬房があるじゃないか。外を見渡せば緑しかない。いや、ここには交通環境すら整っていない。それでも僕は活き活きとしていた。だってこんな施設、日本では絶対ないじゃないか。捨てられた動物達の楽園じゃないか。なんとしてもここで働きたい、そんな情熱だけで通してもらった。

英語が対して理解できないコミュニケーションの取れないこの青年に、明らかに現地の英国人達は困惑していた。イギリスでさえ動物愛護団体での仕事は、スーツを来て働くホワイトワーカー達とのクールな仕事とは違う。その変わり彼らにはポリシーと誇りがある。動物の命を最後の最後で食い止めている。そんな想いがあった。

「動物好きに悪い人はいない」

そんな勝手な自信は功を奏していた。フレンドリーでこそなかったけれど、皆チャリティー精神と動物への想いだけはしっかりと持っていた。僕も英語は話せないけど、その気持ちはあるぜ!とアピールする事で、何とか仲間に入れてくれていたんだと思う。

ひたすら変わらない仕事を毎日毎日行うのは、本当につまらないことだ。それでも動物の為なら出来るんだなと、改めて自分に気付いた。やっぱり彼らが好きだ。毎日の同じ作業にすらやりがいを感じる。糞を拾う作業、ベッドを綺麗にする、ご飯をあげる、毛づくろいをする、散歩に行く。唯のこんな作業でも、毎日やっていると見いだせる事がある。仕事が早くなるだけじゃない、一頭一頭との絆が紡がれていくのが分かる。犬達の「何だ、あいつ」の目が何処からか変わる。それが最高に嬉しかった。

そんな満足感を持ち始めた頃に、タイミング良くDog Behaviouristに逢う事が出来た。アカデミックで高学歴を持つ彼らには、より今までとは違った仕事が与えられていた。動物側に立つだけじゃなく、人々と動物を繋ぐ仕事だ。いやもっとちゃんと言えば、彼らは捨てられた動物の代弁士だ。言葉を持たない動物達にとって(最も彼らはそんなこと思ってないだろうけれど)、自然と離れ過ぎた人々との繋ぎ役をしてくれる数少ない翻訳者だった。

元々、人と人を繋げる仕事をしていた僕にとって、この仕事は天職に思えた。その人自身の人間力こそが、人にとっても、それ以上に犬にとっての信頼を得る事になる。人生を通して、自分を成長させる必要がある、そんな仕事だ。そして、彼らは想像以上に素敵な人達だった。あくまで人間として、こんなに素敵な人達に出逢った事が数少なかった。

彼らと仕事を始めると、イギリスの動物保護団体の凄さが分かった。人と抱える動物達を繋ぎ合わせる彼らには、犬達の世話をしているスタッフよりも大きなプレッシャーを背負う事になる。「動物の生死」という一つの責任。それだけではなく、運営面も兼ねて本部の人達とも話をしていかなくてはならない。当然だが、これだけの施設と人達を抱えるには資産がいる。沢山の人々が、「全てのペットが健康で、楽しい家族と過ごす」というvisionのもと働いている。そして、ようやく動物保護団体が成り立っている。しかも素敵に、一般的な世界に生きる人々からも尊敬されるような、誇りのある仕事として成り立っている。このポイントが大切だ。絶対的に日本では味わう事が出来ない大きな差があると感じた。

動物の命を救いたい。と思う事はあっても、「動物保護団体で働きたい!」と大学を卒業しても思ってもらえる様な環境は日本にはない。そしてそんな人達をあまり見た事がない。今話題のsustainableは、この業界にとっては最も重要なんじゃないだろうか。どの仕事でもそうかもしれないが、活き活きとした目を持つ彼らが恋しくなるのは、やはり環境にそれだけの魅力があったのだと認めざるを得ない。
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